特定社労士しのづか、「労働問題の視点」

特定社会保険労務士篠塚祐二。福岡の労働あっせんや労働審判事件で、主に労働者のサポートをしています。日々の労働相談業務を通じて所感をつづります。
★★社会保険労務士業務はどうしても企業サイドで活動することが多いです。私は特定社会保険労務士の業務としては、広く一般個人からの相談を積極的に受けることで、あまりに理不尽な仕打ちを受けながらも泣き寝入りしている労働者側の支援をしています。★★

成果主義人事評価が退職強要の道具となっている

毎日多くの労働相談を受けていますが、最近あったこの事例は、あまりの不条理に魂が震える思いがしました。

従業員数千人の上場企業。卸小売業。

職能給やら役割給やら名前だけはそれらしい給与制度を構築しているものの、その運用においてはでたらめです。

成果主義においても賃金の切り下げは、よほどのことがない限り行わないのが原則です。それは賃金が労働条件のうち最も重要なものであり、賃金を不利益に変更することは、雇用契約の本旨からはずれることであり、よほどのことでもない限り賃金の切り下げを行ってはなりません。

ところが平気で、人事評価の結果君は降格だ、と賃金切り下げを行っている。人事評価の客観的基準が公開され評価面談があって、不服申し立てが可能である人事制度ならそれも可能なのであるが、どうもまったくそうではないらしい。

外部コンサルタント作成による評価の基準はあるものの、末端の管理職までそれが浸透していない。評価シートはなく、あるのは目標管理シートだけである。目標管理シートの目標はといえば上司からの無理難題な課題の押しつけであった。

評価面談は一度もなされていない。否応なく評価結果だけが文書で通知されるのだそうだ。

到底達成できそうもない目標を設定させ、できなかったから貴方は最低のE評価です、とやっている。これが、上場企業の人事部のやることか、と呆れてしまいます。

(こういう制度を支援したコンサルタントも大罪です。外部コンサルが入って人事制度を変えたとたんに社内が疑心暗鬼の雰囲気に変わってしまってトラブルが絶えなくなったという相談がよくあります。)

ふつうの人間だったら誰でもそれは理不尽だ、とわかるはずだが、組織全体がマヒしてしまっているのかもしれない。会社を批判する人間はつぶされる、から誰も何も言えない。

そんな企業に誰がした。トップは誰だ。世襲制で3代目の坊ちゃん社長か。やっぱりね。

坊ちゃん社長ならまだいいほうです。たたき上げの執行役員が社長に忠告してくれるはずです。

一番困るのは、経営数字だけしか目に入らない業績第一主義の社長。
たとえば銀行出身の経理部長から「社長、50歳以上の従業員の賃金が高すぎますよ。リストラして解雇するか、人件費カットしないと利益が残りませんよ」などと言われて「そうか、そうか。中年社員は働きが鈍くなっているからね。辞めるように働きかけないとね」。

そこには、従業員は企業存続の道具であるとの思想が見え隠れする。だれでもよい。安い賃金で働いてくれれば。長年の功労もへったくれもない。

労働組合は?と言えば、社内レクレーションの開催程度しか機能していません。。。

集団提訴しかなかろう、と私はアドバイスしました。

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産業別労働組合をベースに従業員代表委員会の設置義務化を

私は労働組合員でもありませんし、今まで労働組合のあるような企業で正社員で働いたことがないため、労働組合の実情には詳しくありません。

しかし、いろいろな方から労働相談を受けていますと、労働組合の無力さを印象付けられることが多いです。

御用組合。役員人事に経営側が関与。管理職的役付きとなったとたんに脱退。非正規従業員を締め出し。

日本の法律では団体交渉等で労働条件を交渉することはできるものの、権限という意味ではなんら法律上の権限の保障がないことも大きな問題です。

労働組合の弱体化の結果、賃金不払残業の強要や不当な賃金切り下げ、就業規則(賃金規程)の不利益変更、リストラや退職強要が、ほぼ経営者のフリーハンドで行われている企業もあるようです。

私はこの春、メーデーを初めて見学しましたが、参加した多くの企業別組合の内、何割が組合としての真の役割を果たしているのだろうか。

組織率が2割を割った今、労働組合のあるべき姿を抜本的に考え直さなければならないのではないでしょうか。そもそも企業別組合であること自体を見直さなければならないと思います。

企業別組合であるなら、(好むと好まざるに拘わらず)経営側と共同で経営に参画する一面を持たざるをえません。労働組合と言えども経営的視点で考えることが求められます。

欧米諸国のように産業別組合であるなら、全国組織の組合代表とこれまた全国組織の経営者団体代表とが協議した労働協約でもって労働条件が決まります。個々の企業の経営の実情などはあまり反映されません。そのかわり、同業者に同じ基準が適用されるため共通の基盤で競争が行われることになります。

わが国のような企業別組合は組合としては中途半端です。それよりも労働組合は産業別組合に統合しなおして、個別企業においては管理職を含めた全従業員から選挙で選ばれた(複数名の)代表が、経営陣と対等の立場で協議することができる「従業員代表委員会」の設置を義務付ける法律を作る方が、これからの時代に合っているのではないかと私は考えています。

委員会の労使の員数割合については議論があろうかと思いますが、ドイツをはじめEU諸国の先進事例が大いに参考になるでしょう。

参考までに、ドイツの経営組織法に定められている従業員代表委員会の目的を記載しておきます。

「使用者及び従業員代表委員会は、適用される労働協約を尊重し、信頼をもって、経営において代表されている労働組合および使用者団体と協力し、労働者及び経営の福利のために協働する」(ドイツ経営組織法第2条1項)

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パワハラの被害にあったら傷害罪で告訴も

職場でのいじめや上司のパワハラによって精神疾患になった場合でも、刑法204条の傷害罪が成立する。「人の身体を傷害した者は、10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」

この「身体」とは肉体だけでなく精神も含むと解されています。

上司の悪質で執拗ないじめによって、重いうつ病にかかったとき、この上司を傷害罪で告訴することは容易にできます。いじめと病気との因果関係を立証しなければなりませんが、時期的に近接していること、他の要因がないことなどを主張するだけでよいかと思われます。

時期的に近接していることを立証するには早めに医師にかかり、間髪を入れずにまずは警察に被害届を出しておくことです。

ひどいケースでは言葉の暴力だけでなく実際に暴力をふるわれていることもよくあります。なおさら、警察に行って被害届を提出しておけば、裁判になったときに有利に展開します。

肉体を傷つける傷害と同じように、またはそれ以上に、精神を傷つける傷害の恐ろしさについて、多くの人たちに認識してもらいたいと思います。

また、被害者に泣き寝入りをさせないよう、サポートする体制を社会的に構築していく必要があります。

法律家や無料相談所の相談員は、精神疾患について正しい知識を持たなければなりません。

ある人が悩んだ挙句、「法テラス」に電話して上司の悪質ないじめに関して相談したところ、「喧嘩両成敗だからね」と、「あなたも悪いのだからがまんしなさい」という意味のことを弁護士から言われたそうです。

それ以来、その方は自分を責め続け、相手方に対して法的措置をとることを躊躇し続けたのだそうです。約一年間も重いうつ病にかかりいまだに職場復帰の目途がたたないという。

法テラスの相談員のレベルが低すぎるのではないでしょうか。それとも、弁護士でない方が電話相談に応じているとしたら、大問題ではないでしょうか。

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社労士会労働紛争解決センターのあっせんで和解

社労士会労働紛争解決センター福岡で、今日、和解してきました。地位確認の事件であり、労働者側である当方が弁護士との共同受任であっせん申請を行った事件です。

先月の初回から引き続き今日の2回目まで同じあっせん委員3人の方に出席をいただき、解決に向けて尽力していただきました。

申請人側の部屋と被申請人側の部屋を行き来し、隔たりのある双方の主張を聞きながら、和解を取りまとめられた功績は大きいと思います。

和解金額は、あっせんにしては高額なレベルでした。

被申請人にも代理人弁護士がついていました。さながら労働審判の審判廷のようでした。

解雇や配転など地位確認の事件は、特定社労士単独では社労士会労働紛争解決センター(のような民間型ADR)ではあっせん代理ができない決まりになっています。60万円を超える事件とみなされるからです。

しかし、ふだんからつきあいのある弁護士に共同受任を依頼して了解を得られれば、社労士会ADRでも地位確認事件の解決も図れることが実証されたことになります。

共同受任は、費用の面で申請人に過大な負担がかかり現実的ではない、とこのブログで過去に書いてきましたが、共同受任の依頼先である弁護士次第であると実感しました。

まず報酬ありきではなく、そこに使命感を感じ、やりたい仕事があれば報酬の額など抜きにして、法的支援をしたい弁護士がたくさんいるということは、私の今後につながる発見であります。

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配置転換を理由にした賃金切り下げは不当

傷病などにより労働能力が全般的に低下、又は一部喪失した場合に、賃金切り下げが可能かどうか。

原因が私傷病である場合に限定して考えてみても、賃金の切り下げは不当な場合は多い。業務災害によるものであり本人に起因するものでない場合なら、なおさら賃金減額には高度の合理性が必要となる。

職種や業務内容を限定しないことがほとんどの我が国の雇用契約であれば、一部の労働能力低下又は喪失があったとしても、他の職種や業務に従事させれば就労可能である場合には、解雇ができないし、かつ、賃金の切り下げもできないと解するのが適切である。

職務給制度を採用し、職種や職務ごとに賃金が決定されるのなら、他の職務に配転された時点で賃金額の変更には合理性があろう。しかし、わが国の賃金制度は一部業界を除いて、職能資格等級制度により能力の伸長とともに賃金が上昇するので他の職務に配転されたとしても賃金には影響しない制度になっている。あるいは小規模企業の場合には、経営者の独断と偏見による賃金決定が圧倒的に多い。

職務給制度に基づくものでない限り、職種の変更を理由として強制的に賃金を切り下げることは事実上不可能であるといえよう。

強制的な賃金切り下げではなく、協議による切り下げなら容認できる場合もある。労働者の自由意思による合意が得られた場合である。しかし、ほとんどの場合が、経営者の圧倒的力関係を背景にした協議に終始することが多い。

労働者がたとえ、賃金切り下げに合意し同意書にサインした場合であっても裁判においてそれは覆されている。背景や事情等を勘案して労働者が真に納得してサインしたとは考えられないとして無効とされている。

労働条件の不利益変更、中でも賃金の切り下げはそれほど難しいものであることを理解してほしい。

最近、一部上場企業の人事部でもこうした判例法理の理解がないためか、不当な賃金減額を強行しているようです。実に情けないと思います。

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桑田さん、ゆっくり休んでください

サザンの桑田佳祐さんが食道がんと診断され、しばらく休養することになったそうです。

私より2歳年下の54歳です。

初期のがんだそうですので、手術すれば95%の確率で完全に治る、とのニュースステーションの報道で安心しました。

ここは、全てを医師に任せてゆっくり治療をなさってくださいと言いたいです。私も20年前に大きな病気にかかったとき、悪いように考えたらきりがないので、すべてを主治医に任せました。

入院したら、あまり難しく考えず、女性看護師たちのお尻をながめながら品くらべをするなど、ゆっくり心を解放してください。

がんは早期発見なら100%治るというではありませんか。

私は、サザンオールスターズのデビュー以来30年超、ずっとファンですから。

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賃金切り下げに理由が要らないなら労働者は奴隷

毎月の給料を、了解もなく10万円引き下げられたとの相談。30歳代の女性から。

思えば先月、経営者から「貴方の給料を下げるつもりだ。いやなら辞めてもらうしかないな」と言われていた。

賃金切り下げを拒否し、退職も明確に拒否した。だからその話は、宙に浮いた話だと認識していた。

ところが、今月の給料でいきなり基本賃金10万円のダウンだ。

先月言われた賃金切り下げの理由は、「期待していたのだが思ったより能力がない」ということだった。

「切り下げの額について私に打診もなく、いきなりの減額は許せない」。

相談を受け、私は次のように助言した。

もちろん、交渉するべきです。
「働きが悪いからしばらく給料を下げようと思っている」などと、有無を言わさぬ言い方で従業員の給与を減額できるはずがありません。それを許せば、経営者独裁のおそろしい企業社会となります。労働者は賃金を減らされたくないために、奴隷化するでしょう。

賃金減額そのものに同意をしていないし、減額の幅についても当然同意していない。10万円もの強制的引き下げは、あまりにもひどい。

あっせんや裁判所への提訴を念頭に、この経営者と減額幅について話し合いをもつことをおすすめします。話し合いが決裂しそうなとき(強引に自己の主張に拘るとき)は、労働局のあっせん制度がふさわしいと思います。


いやだったら辞めればいいのだが、外国のように労働市場の流動化はすすんでいないのが現実だ。転職するたびに労働条件が悪くなる。

経営者側に立ってみると、採用選考時の見立て違いで、新人に過剰に高い賃金で採用してしまうことがある。ワンマン経営だと周囲の意見を聞かないからなおさらだ。賃金は成果主義で自在に上下させられると考え違いしている経営者も多いだろう。

一度決めた基本給はよほどのことがない限り下げられないと考えるべきである。又は、切り下げられることができる旨の賃金規程と公開された基準がなければ、それは不可能である。

だから、経営者は新人の基本給を決める際には用心深くなるのだが、たまには失敗することもあるだろう。

高すぎる賃金だと思っていながら支払い続ける経営者と、それをうすうす感じている従業員が、同じ部屋で一緒に長く働くとなるといずれ破たんすることが予想されます。

どこかで正直に腹を割って話をする必要がある。「私は間違っていた。いくらか賃金を切り下げたいと思うがどうか。そのかわり代償措置として・・・・・」。

真摯で正直で、かつ、相手を思いやる言葉が、不幸な別れを防ぐのではないかと思います。

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染まらず事態を客観視し、批判精神を発揮してほしい

大学を出て就職した人が、一年が過ぎると、目つきなど人が変わったようになることがある。

自由で天真爛漫な学生生活から、厳しい競争社会に入るのだからある面では通過儀礼と考えてもよいのかもしれない。

ルーズな人が几帳面になったり、のんびり屋が俊敏になる程度の変わり方なら、歓迎するべきなのかもしれない。

ところが、悪事を許せない、正義感の強かった人物がなんとなくグレーな性格に変わっていくのは、なにがそうさせたのだろうと考えてしまう。

「生きていくためにはしかたがない」「競争に勝ち、売り上げを上げるためにはしかたがないんだ」などと言うのがそれだ。

企業に入ると守らなければならないルールが山ほどあるが、そうした明文のルールより、長い間に培われた慣習や暗黙の了解事項の中にあやしいものが多い。

ズバリ言うと、サービス残業を強制する悪しき習慣が隠れていることが多い。

求人票に書かれた事業内容や仕事内容に魅かれるし、1日8時間労働、完全週休二日制、年間休日130日だから待遇も安心だ、と入社したのに1年も経たずに現実を知る。

「もう辞めたい、と考えている元同級生が多い」とある若者から聞いた。

残業するのは悪、という考え方が強い諸外国。個人の生活の基盤があっての仕事である。

わが国ではいまだに仕事第一、仕事優先、仕事人間が称賛される。この違いは何か。

文化の貧困さ(近代史の浅さ)、経済原理、強すぎる企業中心社会、発言力の弱い労働者層、法の不整備などが思い浮かぶ。

企業の思うがままに働かされ、内心の自由がないほどに企業から個人生活まで制約され、そんな企業体質を批判する気力さえなくしている。

「批判する精神だけはなくしたくない」とある若者が言った。

そうだ。染まってしまわないよう自分の心の記録を付け続けることで事態を客観視することができるし、自分を見失うことを防ぐことができるかもしれない。

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勉学に突如目覚めました。放送大学に入学します

この仕事をするうえにおいて、法律の基本的知識が必要であることを感じ、法律を含め人や社会に関してきちんと学習する必要を感じていました。

そこで、このほど放送大学に入学願書を提出しました。私は大学4年次での中退なので、放送大学3年次への編入を希望する願書です。

3年次への編入が認められれば、通常の卒業単位である128単位の半分の64単位で学士が取得できます。

いまさら学士などさらさら必要性は感じませんが、学習するからには目標として卒業を目指したいと考えています。

今後2年間、テレビやラジオの放送を聞いて、夜間は一人自宅で学習する日々が続きます。

入学するのは易しいが卒業するのが難しいという、放送大学。私にぴったりの大学です。

勉学はしたいと思ったときにするほうがもっとも頭に入ります。年齢は関係ありません。

放送大学には法学部というものはなく、教養学部しかありません。しかし、そこが良いのではないかと思っています。

法律だけでなく心理学も哲学も、それに西洋文学なども、この大学で学び直すつもりです。

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サービス残業の強制には脅迫罪や強要罪で訴えよう。

会社のために、店舗の売り上げのために、つまるところ、お客様の満足のために、社員はその持てる能力の全てを発揮しなければらない?
頭の悪い者はその持てる時間を、会社のために捧げなければならない?

これらはすべて、従業員を長時間労働に反抗しないよう洗脳しようとしてきた悪質な経営者の、単なるきれいごとです。今では多くの労働者たちがそのことに気付き始めています。

有名企業の公式サイトにはいまだに、「お客様の満足のために、われわれは最大限の・・・」という文言が並ぶ。

従業員の低賃金や身を削る犠牲の上で、お客様に奉仕することで売り上げを伸ばそうと企む経営者たち。

過労死する従業員が後を絶たない。過労死に至らないまでも、脳血管疾患による重い障害になる人も多い。

最近では、長時間労働の強制や責任の押しつけあい、人員削減による担当業務の負担増などにより、うつ病に至る労働者が増える一方である。また、ちょっとミスしただけで、集団のいじめにあっている。

集団いじめにおいては、誰が悪いとかいうのではない。組織そのものが病魔に襲われている。最も悪いのは経営トップである。

価格競争の熾烈さやお客様サービス競争の行き過ぎが、もろに労働者にそのしわ寄せが行っている。

我慢できる範囲ならいい。能力を伸ばすことのできる範囲ならいい。それが今では、常人の限界をはるかに超えている状況である。

社員を減らし、残った社員に今までの2倍の仕事をさせようとし、賃金は1割減らされている。極端に経営者寄りの考えの経営コンサルタントの存在が害悪となっているケースもある。

従業員は、あまりのオーバーワークに脳みそが沸騰し意識が朦朧として、それが原因で仕事上のミスを犯すと、上司からの激しい叱責が待っている。

あまり我慢強くない人は早々とその企業から退散し、新たな道を探そうとするのだが、我慢強い人が、また弱音を吐かない人が、限界を超えて我慢しようとして、サービス残業や自主的出勤をして、成果を上げるために自分の心身の健康までも犠牲にしようとしている。

どこかでストップをかけないと、悪質な経営者から命を奪われる労働者が増えるばかりだ。

経営者は、いろんな言い訳をするであろう。市場で生き残るためには仕方がない、と。

しかし、人の命より大切なものがあるのですか?

そこで、働く者として少しは法律を学んでほしい。

ある業種、たとえは外食産業や量販小売店での上司と部下の会話。

「売り上げを確保するために明日の休日も君はもちろん出てくるだろうね。出てこないなら君はどうなるかわかるだろう。もちろん、出勤記録簿には出勤の記録を残さないでくれ」。

「私はこの3カ月、一日も休みが取れていません。明日は子どもを病院に連れて行かないといけませんので休ませて下さい」。

「なに? 君は今までどれだけ会社に迷惑をかけたかわかっているのか。自分のミスを棚に上げて休ませてくださいだと?」。

この上司の言葉は犯罪を構成します。刑法の「強要罪」にあたると思われます。違法行為(サービス残業)の強要です。

しっかり録音していざというときのために証拠として保存しておきましょう。

場合によっては、この発言をネットで公開することも可能です。2チャンネルなど実名でよく書き込みされていますね。

事実を、公益のために公表することは、名誉棄損にあたりません。事実であるという証拠があれば何も恐れることは要りません。

証拠があれば警察への告訴が強烈ですが、現実的には被害届を警察に提出しつつ、民事で争うことが有効でしょう。

刑法 第34章 名誉に対する罪
(名誉毀損)
第230条  公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2  死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
(公共の利害に関する場合の特例)
第230条の2  前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2  前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3  前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
(侮辱)
第231条  事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
(親告罪)
第232条  この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。


このように、法律を知ることはすごく大切なことです。

正しい行為をしたのに脅されたときや、不法行為を強要されたときには、脅迫罪や強要罪が成立することがあります。

刑法 第32章 脅迫の罪
(脅迫)
第222条  生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2  親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
(強要)
第223条  生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2  親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3  前二項の罪の未遂は、罰する。


古きよき日本の雇用社会では、会社を信用してもよかった時代がたしかにあったのですが、現代はそうではありません。

自分の身は自分で守ってください。

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